レディース検診と婦人科検診=子宮頸がん検診について

<婦人科検診>

今現在政府や市町村で推奨されているレディース検診内容は主に「乳がん検診」と「子宮がん検診」の2つ。その中で婦人科が取り扱っているのが「子宮がん検診」です。

日本で行われている子宮がん検診といえば”子宮頸癌に対する細胞診”のことを指します。

時代背景により病気の内容や受診者の求める検診精度が変わるため、検診の内容が一部変わることはあるとは思いますが、現在は婦人科医が子宮頸部の状態を見ながらめん棒や木ヘラ、専用器具などで子宮頸部をこすって検査する”ねらい細胞診”が主流です。

(最近若年層の子宮頸癌が増えた為以前は各市町村の子宮がん検診の対象年齢が25歳以上だったのが20歳以上に変更されました

※子宮がん検診受診率は2016年で42.3%程度となっています。

 

<例えば?>

≪乳がん検診≫

早期診断であれば乳房温存手術が可能になりました。

また抗がん剤治療のみで治る場合もあり、その際は触診では診断できないレベルの微小がんで見つかる事が大切になってきます。

微小がんを見つける為には、乳がん検診で専門医による問診と触診に加えてマンモグラフィが必須の検診項目になってきます。

現在の各市町村からの乳がん検診対象年齢:36歳以上

 

※と、記載されていますがこのエビデンス(科学的根拠)となった8つの欧米での比較試験の内、6つには穴があったことを近藤誠氏は指摘しています。残りの2つ(カナダとスウェーデン)のみ信用できた。そこでその2つの比較試験を分析したところ検診をしても決して乳がん死亡が減らないことがわかりました。これについては、その後デンマークの統計学者らも同じように分析した結果同じ答えに行きつき”マンモグラフィーは無効である”と、イギリスの医学雑誌に発表されました。しかし、推進派によってこの情報(論争)はうやむやに…続きが気になる方は書籍「近藤誠の女性の医学」P158~を参照してください。

 

<子宮頸部の検診が広まった背景>

最近は子宮頸部を覆う上皮内に異常細胞が存在する「前がん病変であるLSIL、HSIL(異形成)」や「上皮内がん(LSIL)」の段階で発見することにより、”子宮を温存して治療する”ことも可能になりました。

(※現在は異形成とは言わなくなりました。それについての記事はこちらから)

 

子宮頸癌の発生には性行為によって感染するヒトパピローマウイルスが関与していることが分かりました。(※全てではありませんが高割合)

検査することで早期治療・早期発見することができるという理念のもと導入されました。

 

※ですが、子宮がん検診を受けて”寿命がのびた”というデータは存在していません。それに加え1966年から検診を始めたイギリスの検診施設は、検診結果を分析しても、検診が子宮頸がんによる死亡数を減少させたという証拠を見出すことができず、1995年の医学雑誌「ランセット」に、「自分たちの検診業務の結果を分析してみても、子宮頸がん検診がどのような貢献をしたのか不明である」と発表。その3年後に発表された厚生省が組織した研究班によるがん検診に関する報告書にはまったく引用されていませんでした。

これについてあなただったら、どう考えますか?

 

<婦人科検診って何するの?それで何が分かるの?>

≪検診項目→わかる病気≫

視診・腟鏡診→外陰・腟の炎症・感染症の有無

②ねらい細胞診→子宮頸部悪性腫瘍があるか

※(不正出血があれば子宮体部細胞診)

内診→子宮筋腫,卵巣腫瘍の有無

 

<「要精密検査」ってなったら何を検査するの?それで何がわかるの?>

※これは主に婦人科健診で「要精密検査」となった際の検査項目になります。

≪検診項目→わかる病気≫

・外陰・腟の細菌培養→外陰・腟カンジダ症など

子宮頸部コルポ診・ねらい組織診→子宮頸部前がん病変・子宮頸癌

子宮内膜組織診→子宮体部前がん病変・子宮体がん

(これは、体がんを疑われた時に行います)

超音波→子宮筋腫

直診→がん細胞の有無(肛門に指を突っ込まれ子宮の硬さを見ています…)

※↓こちらは更に追加で必要になった場合になるかなと思います。

MRI→子宮肉腫やがんの広がり

・CT→がんの広がり

採血→血中腫瘍マーカーの測定

 

※因みに私が子宮頸癌健診で「前がん病変 高度異形成:要精密検査」と診断結果を受けた際に大学病院で診察した時の検査内容は「コルポ診・組織診・視診・超音波・触診・直診」を受けました。

子宮頸癌と診断されて治療する際にはCTとMRI検査と手術の為の心電図やX線検査なども受けました。

 

<検診を受ける際に知って欲しい>

但し、子宮体がん、卵巣がん、さらには性器の感染症まで早期診断することは難しいのが現状です

※費用を無視して検査を積み重ねれば、診断可能であることも多い。

(例:自費診療で性病検査、PHV検査やその他の細胞診など。尚、子宮がん検診もクリニック等で自費の場合は1万円前後ほどかかります)

 

※それと実際にスウェーデンの診断結果で上皮内がんと出ていても、100人のうち99人のがんは消えてしまうなどの研究があります。ニュージーランドでも同様の報告があります。検診結果をそのまま鵜呑みにするのはあまりおススメしません。検診を受ける際には予備知識を得た上で行うことをおススメします。

 

<自分で行う検査キット(子宮がん検査キット)での注意>

子宮頸部細胞診は採取法がきわめて重要で”じかに子宮頸部を見ながら”細胞を採取する方法に比べて、自己採取法は正診率が低いうえ誤診率が高くなるという事も知っておかなければなりません。

(全然違うところをこすってた?!など)

精度の悪い検診でもし誤った結果が出た場合、それを否定するためにより多くのお金をかけなければなりません。

(日本では各市町村で補助金により20歳から、1~3,000円程で子宮がん検診(組織細胞診)が受けられます

日本婦人科腫瘍学会などでは自己採取法は有害無益なのでやるべきではないと考えている様なので自己責任の基でお願いします。

検診を受ける際には、その内容と精度を十分に知った上で行う事が重要です。

キットは5000円位です。

 

過去記事≪HPV-DNA検査についてとHPVタイピング検査キット体験レポ

キットで検査をする場合は、HPVタイピング検査も子宮がん検査も同じ手順かなと思います)

 

<補助で受けられる子宮がん検診>

対象年齢:20歳以上69歳以下の女性

検査内容:子宮頸部細胞診(医師の判断により体部がん検査も実施)

その他、婦人科検診の内容と同じ感じです。

検診場所:各市町村の保健センター、又は任意の婦人科クリニックで検診が受けられます。

申込方法:医療機関に予約後、各市町村から届いた「子宮がん検診受診券(または兼無料クーポン券)」を持参のうえ受診。

費用:各市町村によって変わり1~3,000円程。

診断結果:各市町村より郵送にて通知かなと思います。任意の婦人科クリニックや病院独自の物が別で郵送される場合があります。

どのくらいで郵送されるか:検査機関→各市町村→私にと経由して届く為、1カ月程度かかります。

尚、詳しい詳細は各市町村から届いた検診のお知らせや各市町村HPを参照してください。

 

私の検診体験レポはこちらから「私が子宮頸がんと出会った時、初めての子宮頸がん健診体験談:体験レポ1

(ついでにこちらに私的病院選びのコラム記事も下の方に記載していますので良かったら参照してください)

 

<わたしのことだま>

現在、子宮頸癌の早期受診に疑問を投げかける方も研究結果もあります。

そう言った方達の思いは”早期発見をする事で無駄に治療を増やす人が増えてしまう”という方も居る一方で”この根拠なく初めた子宮がん検診に効果はあるのか?”という研究熱心な方達によって医学とは無縁の私にもその意味を考えさせられる機会が訪れたと思いました。

ただ、政府や市町村や医師が推奨しているからという理由で受ける意味。

「もし、なってたら不安だから」という軽い気持ちで受ける意味。

それによって、どんなメリット・デメリットがあるのか。

改めて考えて自分の天秤によって検診を受けることをおススメします。

 

PHVウィルスというのはその存在を確認されているだけで100種類以上あります。

実際に子宮頸癌へと進行する(発がん性)高リスクなウィルスクの型は現在分かっているだけで13種類のみです

(今現在も研究により解明されています)

そして、高リスク型だからと言って必ず癌化するわけではありません。割合は全世界で0.15%です。1%以下です。

つまり、「ガン化しない可能性のある人にまで、無駄にしなくてもいい治療をすることによって負担を増やしてしまう」という事もあると知っておかなければなりません。

 

ですが、逆にこれは人によって捉え方・考え方の違いがあり「1%以下でも可能性は残したくない」と思えば、またその意味合いが違ってきます。そして、自分が”99%の方じゃなくて1%に入る可能性もありうる”ことも。

本当に大切な事は、”検診を受けること”をそもそも考え、その上で検診して診断結果が出た際には「医者の言いなりなって治療をすること」ではなく「自分の身体について興味を持ち、改めて向き合うこと」だと思います。

万が一、検診で「要精密検査」と診断された際は”即治療”ではなく、

医師に”今の自分の状態(早急に治療が必要なのか?)”を聞き

有効だと思われている治療方法の提示(どんな治療方法があるのか?)”と

追加の検査(リスク型なのか?)”を受けて

その上で”自分でも調べる(メリットとデメリット、又は治療が本当に必要か?)事やセカンドオピニオン(この検査結果は合っているのか?)なども”検討することが大切です。

ただ、やみくもにめんどくさがったり逃げてしまうことだけはおススメしません。

 

そしてその中で”自分で選択していく”。医者主導ではなく、自分主導でいきましょう。

 

私の体験レポはこちらから「はじめてのお便り(診断結果)、病院巡り:体験レポ02」からお願いします。

こちらの記事も良かったらどうぞ過去記事「子宮頸部の上皮内がんはがんもどき?!」