<HPVとは?>
ヒトパピローマウィルス(Human papillomavirus)の略語。
<ヒトパピローマウィルスとは?>
パピローマウィルス科に属するウィルスの1つで皮膚病や性感染症の原因として知られるウイルス。
<名前の由来は?>
別名:ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトにゅうとうしゅウイルス)とも言う。
パピローマ(ウィルス)or乳頭腫(腫瘍)と呼ばれるイボを形成することから命名。
<いつ発見されたの?誰によって?>
1976年にドイツがん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン博士が「子宮頸がんにヒトパピローマウィルスが関与している」ことを発見し発表した。
2008年にこの功績を称えてノーベル医学生理学賞を受賞。
<ヒトパピローマウイルスには2タイプがある?>
皮膚型と粘膜性器型の2タイプがあります。
皮膚型HPV=主な症状は手足のイボ(尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい))。
粘膜性器型HPV=症状は出ないが子宮頸がんや尖圭(せんけい)コンジローマを引き起こす場合がある。
<感染経路は?潜伏場所は?>
皮膚型=皮膚感染で感染する。
粘膜性器型=性交渉で感染する
皮膚や粘膜の微小な傷から侵入する。
<で、今回は粘膜性性器型HPVの話で…>
主に性交渉によって感染する。
但し、性交渉未経験者だからと言って感染、発病しないという事はない(その場合には別の感染ルートが考えられる)。
また基本的には性交渉以外の接触感染、飛沫感染、空気感染をすることはありません。たとえばドアノブに触れたり風呂やプールに入ったりしても感染しない。
<感染するとどうなるのか?Aver.>
未だ議論が分かれる…
PHV専門家(元東大で現在は日本大学のHPV感染症で有名な川名先生)が「潜伏感染の可能性について」
見かけ上は、二十代で20-30%、三十代で10-20%、四十代で5-10%という具合に年齢とともに検出率は低下するが、実はHPVが徐々に潜伏状態に入っていくことを示している。HPVのライフサイクルを考えると、これはHPVが「消えた」わけではなく、潜伏状態に入ったと考えるほうが自然である。潜伏状態ではどんなに高感度の検査を行っても検査上は陰性となる。
と、話す。こちらの記事でも話しています。
<メディカルノート/ヒトパピローマウィルス感染症とは?
https://medicalnote.jp/contents/171212-003-TS>
<この場合に考えられるのは?>
ヒトパピローマウイルスは1度感染したら生涯にわたって体内に残り続け、消えないことが特徴。
ヒトパピローマウイルスの感染には「潜伏感染」「持続感染」という2つの状態がある。
<潜伏感染とは?>
ヒトパピローマウイルス(HPV)が免疫システムを避けて粘液の中に入り込んでいる状態。
このときHPV検査を行うと、その結果は陰性になりますが、それは厳密にいえば、ヒトパピローマウイルスが体内から完全に排除されたのではなく、潜伏感染の状態になったということ。
潜伏したヒトパピローマウイルス(HPV)は、体調不良などで免疫力が低下しているときには粘膜の表面に出てきやすくなるが、体調が回復するとまた潜伏することがほとんどで潜伏感染状態のヒトパピローマウイルスは、発がんの原因にはならない。
<持続感染とは?>
感染したヒトパピローマウイルスが潜伏せず粘液の表面にとどまる状態を「持続感染」という。
持続感染状態ではウイルス増殖が起こり、がんや尖圭コンジローマを発病しやすなる。
また持続感染状態のときHPV検査を行うと陽性反応が出る。
何度か検査を行ってみて継続的に陽性反応が出る場合には、持続感染状態であることがわかる。
<潜伏期間は?>
はっきりとは分かっていない。
体内から消えることがないという意味では潜伏期間は一生。
感染してから発病するまでの期間は疾患によって異なり、感染自体による症状は現れないためいつ感染したかを明確にすることはできず、正確な年数は不明です。
子宮頸がんの場合は、ヒトパピローマウイルスに感染してから発症するまで数年~数十年の期間があるといわれています。
<潜伏感染と持続感染の分かれ道は?区別の仕方は?>
ヒトパピローマウイルスが潜伏感染となるか、持続感染となるかの違いは、個人の免疫力の差によるもの。
同じヒトパピローマウイルスに感染しても、陰性になる方と発病する人もいる。
免疫力には個人差があり、生活の内容とは関係なくたとえば性活動の多様な人ほどがんになりやすいかというと、そういうわけではない。
区別の仕方は何度か検査を行ってみて継続的に陽性反応が出る場合には、持続感染状態であることがわかります。
はい!ここまでがAver.です。
続いて…
現在広く認知されている説はこちら↓
<感染するとどうなるのか?Bver.>
通常は発がん性のリスクが高いといわれるHPV16型や18型でも、出生時に感染がみられることがあるが様々な免疫が応答し体内から排除される。
(日本では5歳児の口腔から16型が35.5%の割合で子供から検出されている)
子宮頸がんを発症するのは全世界でHPV感染者の0.15%程度と言われている。
<潜伏期間は?>
HPV 感染の70%が1年以内に消失し、約90%が2年以内に消失する。
しかし上記のメカニズムによって、一生涯有効な免疫記憶が形成されないため、自然感染後の抗体生産が十分でなく、同じHPV型への感染が何度も起こると考えられている。
子宮頸がんの場合は、ヒトパピローマウイルスに感染してから発症するまで数年~数十年の期間があるといわれいる。
※例外的として進行が速いケースもある。(私のことですね)
はい!ここまでがBver.
ここからは今のところ、共通見解の部分になります↓
<初期症状は?>
感染自体による症状は現れない。
<何が問題なのか?>
その中の高リスク型と言われるタイプに感染したまま放置する事が問題とされています。
<それは、なぜ?>
がんになる可能性があるから。
ですが、実際にここからがんになる確率は全世界でも0.15%と言われています。
<因みに、がんになるって何で分かるの?>
ヒトパピローマウィルスは2016年現在、180種類以上存在が確認され、発見順に番号がつけられている。
種類の分け方は遺伝子の配列によって細かく「型分類」されている。
そのうちの15種類程が「高リスク型HPV」と呼ばれてる。
で、この15種類程が子宮頸がんの原因となっています。
<高リスク型HPV?>
100種類以上ある中で15種類ほど「HPV16.18.31.33.35.39.45.51.52.56.58.52.58.59.68.73.82型など」がこれに当てはまる。
特に、日本人の子宮頸がんの約70%は16型と18型のHPVが原因で発症。
16型・18型は、感染してから発がんするまでの期間が非常に短く5年程度ということが特徴です。
ただし16型・18型に感染する確率は低く、また16型・18型に感染してもすべての方が発がんするとは限らない。
※Aver.だと持続的に感染しやすく発がんしやすいヒトパピローマウイルスは高リスク群(ハイリスクタイプ)に分類。
<低リスク型もあるの?例えば?>
尖圭(せんけい)コンジローマ=HPV6.11型
膣や外陰部など性器周辺に先のとがった良性のイボを作る。
※感染すると3週間~6カ月の潜伏期間を経て発症する。
手足に発症する尋常性疣贅(イボ)HPV2、27、57型など
なお、新しいウイルスは次々に発見されており、ヒトパピローマウイルス(HPV)の分類方法は文献によって異なる場合があります。
※因みにAver.だと発がんしないヒトパピローマウイルスは低リスク群(ローリスクタイプ)に分類。
<感染する時は1つの型に感染するの?>
いいえ。複数の型に感染する事があります。
(私のように…)
なので、イボなどが出来た時も「低リスク型だから大丈夫」と、安心せず一度子宮頸がん検査を受ける事をお勧めします。
と、日本では言われています。
<感染するのって人数とか関係あるの?>
人数は関係なし。
例えば、一人の方とでも。
セクシャル・デビューをしたら、それがたった一度の経験でも、発症するリスクとなります。
また、
生殖器へのHPVの感染は、母が感染した乳児の約73%が感染することがあります。
出生時に、HPVの6型、11型、16型、18型はそれぞれ6.4%の乳児が感染しており、生殖器よりも口腔での感染率が2倍であり、感染していた乳児6か月時点で16型は約83%、18型は約20%から検出された。
日本の子供の口腔へのHPVの感染では、3歳の小児では最も多いのは2型、5歳では16型でありこれは35.5%の子供から検出された。
別の研究では、成人では16型の口腔からの検出率は1.3%あった。
というデータもあります。
つまり、安直に考えるのは早計。
<子宮頸癌=性感染症ではない!>
実は、HPVの感染は性経験のある人にとってはごくありふれたもので、特殊でも何でもないと言われています。
性経験のある女性の約80%は感染経験があるとされている。
しかも、感染してもほとんどが無症状で、発がんに至るには様々な要因が関連している。
だから、もしあなたの周りで子宮頸がん患者の人が居たら偏見を持たずに接して欲しいと思います。
そして、あなた自身も「相手を責める」ことや「自分を責める」ことはして欲しくないなと思います。
(過去記事「私のせい?誰かのせい?この病気について私が思う事」)
<ヒトパピローマウイルスが引き起こす疾患ってもうないよね?>
ヒトパピローマウイルス(HPV)は症状が出ないウイルスのため、感染しても気づかないまま生活している方がほとんどです。
しかし感染したウイルスの種類や場所、個人の体質によっては、がんや性感染症が引き起こされる場合があります。
<ヒトパピローマウイルス(HPV)が引き起こす疾患>
肛門がん
咽頭がん
外陰がん
陰茎がん
尖圭(せんけい)コンジローマ など
女性の場合は主に、子宮頸がんや尖圭(せんけい)コンジローマです。
<男性側のHPV感染のリスクはないの?>
ヒトパピローマウイルス(HPV)が引き起こす可能性のある疾患は、男女で異なります。
男性の場合、かかりやすい疾患は尖圭コンジローマで、発がんする可能性はかなり低いといえます。
ただし、HPV関連がんの1つである肛門がんは、肛門を使った性交渉で感染する可能性があります。
また陰茎がんは、一般的に包茎や性器の不衛生が原因といわれていますが、ヒトパピローマウイルス感染が関係するケースもあります。
<ちょっと話はそれるけど…>
今回、色々調べる中で”感染するとどうなるか?”の部分が割れている事を知りました。
先日、たまたまTVを見ていたら花粉症に対する特集番組を見ました。
そこである医師(森田豊医師)が花粉症が発症する人、しない人についての話をしていました。
従来は「バケツ理論」というもうのが通説とされてきましたが、そこに登場した森田豊先生が否定。
簡単にまとめると、花粉症のスイッチは理論的に結局は解明は出来ていない。
(「バケツ理論」を否定するような治療法「舌下免疫療法」を紹介していました)
そして、ここで森田豊先生はアレルギー反応には”閾値“(いきち)という概念があること。
そして、花粉は悪さをしない(正しくは花粉の中にある核に反応して)。
閾値は人によって様々でアレルギー因子を持っていても発症しない方がいれば「去年まで大丈夫だったが”今年は発症した”」という方もいるということ。
つまり、アレルギー発症のスイッチがいつ入るかは予測できないので、現在花粉症でない人も花粉シーズンにはマスク着用、規則正しい生活、免疫力を高める食生活を心がけるなどの予防を行うことが大切という話でした。
と、説明が長くなりましが。
何が、言いたいのか…HPV感染でも花粉もいつなるかは分からないし誰にでも起こり得ること。
これはシーソーと同じ原理。
その年は免疫力が高ければ花粉(HPV)に勝てるけど弱まっていたら発症する。
大切なのは免疫力!!って事ですね。って、これも1つの説になります。
実際に免疫力を高めればいいのか?と、言われると…そう簡単じゃないのが人間の身体です。
酷い時には炎症反応をきたして重篤化するケースもあります。
(日本で行われている免疫療法には詐欺が含まれています。ニュースでも医師が詐欺治療をして捕まったのをご存じでしょうか。)
身近な花粉症1つとっても、説が複数存在しているのが現状です。
医学は日進月歩。
今まで常識だと思っていたものが、明日には非常識になっていることもあります。
その為にも最新の医学情報はチェックしておくことは大切ですよね。
その中で自分で、選び取っていくことがとても大切になります。
こちらの記事も良かったら読んで下さい。
過去記事「子宮頸部の上皮内がんは「がんもどき」?!書籍レポ」
過去記事「医療リテラシーって?」
<参考資料>
サイト:Wikipedia/ヒトパピローマウィルス<https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒトパピローマウイルス>
サイト:メディカルノート/ヒトパピローマウィルス感染症とは?<https://medicalnote.jp/contents/171212-003-TS>
TV:TBS「この差って何ですか?」<http://www.tbs.co.jp/konosa/
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