こんにちは。
今回は著者:近藤誠氏の「免疫療法に近づくな~長生きするなら『免疫力』より『抵抗力』」のレビューになります。
<前置き>
よく巷では『免疫力』を高めようと関連書籍や免疫力アップに繋がるであろうグッズや食品などが数多く販売されています。
最近は、コロナウィルスが猛威を振るっている最中でもあり、より一層意識的に私の耳にも届いてきます。
私自身も、この書籍を読む前は花粉症などのアレルギー疾患などに免疫力を上げる事が有効だと思っていました。
ですが、この近藤氏の書かれている内容を読むと「確かに..。」と言わざる負えない事実に気づかされました。
<書籍の内容について>
書籍の主な内容は、
・がん治療で行われる免疫療法に対する近藤氏の見解
・実際に海外で行われている免疫療法の実態が紹介されています。
「免疫療法」という言葉も最近「免疫療法」と謳って、治療行為を行っていた医師が逮捕されたという報道も記憶に新しいかと思います。
実際に、近藤氏は作中の中で海外の医師で「免疫療法」をやりますと言う医師はいないといった記述がされています。
それは、なぜなのか…
実際に数々の研究、論文で成果があげられず否定されるものばかりだからです。
本当に効果があったとされる一部の癌腫での免疫療法の治療内容は到底簡単に手軽に出来るものではないという事が記されていました。
なぜ、日本では?
日本で行われている免疫療法と”実際の本当の免疫療法”の内容は別物。
なぜ、それが許されるの?
日本には、このように効果不明の治療行為を規制する法制がなく、医師免許があれば、「医師の裁量行為」として、何でも許されてしまうという事実があります。
実際に効果があったとされる免疫療法についても、この様に記載されています。
免疫細胞を用いた療法で治癒や延命が期待できるのは悪性黒色腫(メラノーマ)だけ。
ただし、本当の免疫療法をすれば治癒や延命が期待できるが、副作用や毒性が強い~薬剤名~療法を併用するのが本当の免疫療法。
本当の免疫療法は、強力な抗がん剤治療を(免疫療法が始まる前に)施行しておく必要があるが、副作用や毒性が強くて、死亡する危険性がある。
「免疫療法に近づくな」より一部抜粋
ここに挙げただけでも、真実が私が想像していたものとは違うことを実感しました。
そして何よりも、驚いたのが免疫力を高め過ぎて起きてしまう弊害があるという事実。
つまり、新たな病気の発症ということですね。
こう言えば分かり易いですよね。
”炎症”。
キャパオーバーによる免疫の暴走といった感じでしょうか。
あれ?
これって、さっき上の方で書きましたよね。
アレルギー症状を緩和させるには「免疫力」が有効である、と。
自分でも書いてて矛盾していることに気づきました。
実際に例として、紹介されている行き過ぎた炎症症状による自己免疫疾患が存在します。
・1型糖尿病
※あくまでも原因(の1つ)としてです。
さらには、免疫力をあげると、がんを呼ぶ。という事も指摘しています。
免疫力が高くなった症状「炎症」があると、がんの発生率が上がるのです。
慢性肝炎があると肝がん発生率が跳ね上がります。安部首相の持病である潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)も、経過が長くなると大腸がんが発生しやすくなることが知られています。
抜粋
これをどう思いますか。
それでも免疫力を高めようと思いますか。
さらには、ピンポイントで人為的に活性して欲しい免疫細胞を高める事は不可能に近い行為とも言われています。
どうすればいい?
そこでポイントとなるのが「抵抗力」。
免疫力を高めるというのは、言わばプラスの働きで何かを足すという行為ですよね。
でも、それを行うのは実際には難しいし下手すると自己免疫疾患になってしまうリスクもはらんでいる。
じゃあ逆に抵抗力と言うのは、
体をつくっている個々の細胞や組織の頑丈さが、抵抗力の実室になると思います。細胞本体が頑丈で、細胞の集合である組織の強度が高ければ、がん細胞が増殖し組織に侵入するのを抑え込めるはずだからです。
抜粋
つまり、抵抗力とは言わば”砦”、”防波堤”と言ったところでしょうか。
免疫力が戦う戦士達なら、抵抗力は壁。
※今回は分かり易い言葉で表現していますが、免疫力を担う細胞は複数ありそれぞれ状況によって変化することが分かっています。
そう考えると、例え戦力を増強しても(免疫力を高めても)壁が脆く(抵抗力が弱っていると)突破されてしまったら意味がないですよね。
後ろから追いかけるわけにもいかないし…
これはがん治療だけでの話ではなく
抵抗力という考え方は、病原体に対しても有意義です。
本当に必要なこと、するべきことが見えてきますね。
抵抗力にとって重要なのは、コレステロールです。
え?
巷では悪扱い、邪魔者扱いされている”コレステロール”。
コレステロールは、正常細胞の膜をつくる重要成分で、ホルモンなどの活性分子を合成するための材料にもなっています。血管や神経細胞にとってはとくに必要です。細胞や組織の頑丈さを決める物質の中では、コレステロールは最重要でしょう。
じゃあ、逆にそれを下げるとどうなるのか…
日本には、高コレステロール血症と診断された人たち四万人に薬を飲ませて、コレステロール値を下げたデータがあります。すると、値が一番下がったグループでは、すべての死因を含めた死亡率が一番高かったのです。
どう考えますか。
体型別の死亡率の割合についてはグラフがいくつか存在していて、そこでは死亡率がもっとも高いのは減少傾向にある人という結果が出ています。
その他にも、他の国で行われた死亡率が高いグループ分けでは痩せすぎと太りすぎが高いとされています。
体系は、普通~ちょい太目がベスト。
みんなでちょいぽちゃを楽しみましょう。
そして、もう1点重要な点があります。
それは、”免疫力や抵抗力を弱めることをしない”こと。
多分、これが一番大きいんじゃないかと私自身は思っています。
不足しているから補うのも一理あると思いますが、そもそも弱めることをしているから壁も戦力も力不足になってしまう。
思い当たる節はありませんか?
…正直、私自身ありすぎて反省。
寝不足、偏った食生活、ストレスなどなど。
何気なくやってしまって、気づいちゃいるがどうしたらいいのさ!と、自虐的になりつつ軽視して見過ごしてしまう。
まずは、何かを足して誤魔化す前に一度見直してみましょう。
更に、詳しい内容について興味ある方は…
<本日登場した書籍紹介>
<あとがき>
人の身体は一筋縄ではいかず、むしろ体の中にある様々な細胞たちの複雑な仕組みのお陰でバランスが保たれているという事がわかりました。
今の世の中には、白黒はっきりつける風潮があるのも事実で、実際にそうすることで楽で頭もすっきりするので好まれていますが、それも行き過ぎると良いことがないなと私自身の身体が教えてくれている気がしました。
どちらが悪いと決めつけて徹底的に叩くのでもなく、曖昧に蓋をして誤魔化すことでもなく、お互いにそれぞれの立場から納得できる落としどころを前向きに探すことが大切ということですね。
そして、食べ物に感謝し楽しく食事をしましょう。
※今回の本書では菜食主義者を否定する文面が書かれている箇所がありますが、これも少し行き過ぎた誤解が生まれてしまうと思いました。
なぜそう思ったのか、私自身がペクスタリアンだからです。
ペクスタリアンとは、肉を避ける人のことです。
ですが、私自身痩せてません(笑)
多分、著者が言っている菜食主義というのは油もあまり摂らない、動物性タンパク質も摂らないという人達を指しているのかもしれません。
実際に本書は2013年発行ですので、現在とは状況が変わってきていると思うので記載させて頂きました。
現在は動物性たんぱく質に変わる植物性タンパク質の摂り方についても過不足なく行える正しい知識が認知されてきていると感じます。
更に、ベジタリアンだからと言って油を摂らないという方は一部であってその重要性も現在は多数の書籍などにも書かれています。
なので、ここではその点だけはご留意頂きたいなと思います。
それでも、楽しく実に興味深く読める一冊なのは間違いないです。
是非、機会があれば。