こんにちは。
今回は「日本で行われるがんの治療・検診と海外で行われる治療・検診についての違い」についての話になります。
私自身、「手術できることは良いこと」だと思っていましたが、本当にそうなの?と改めて考えさせらる結果となりました。
最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
<海外と日本でのがんの違い>
1、子宮頸がんなどで見られる前がん病変である上皮内がんはがんとは言わない。
※アメリカの国立がん研究所が「乳房の非浸潤がんをはじめとするがん検診で見つかる、死に至らない腫瘍を”がん”というのをやめよう」と呼びかけている。
これにはイタリアの外科医も、世界に先駆けて提案している。
2、ポリープは良性腫瘍で特別な事由がない限りは治療しない。
3、欧米では初期のがんも放射線で治療している。
4、欧米では肺がん、胃がん検診は行われていないしマンモグラフィも薦められていない。
※アメリカでは40歳代の女性にマンモグラフィを薦めないと限定的になっている。
年齢が関係あるのか正直、疑問が残るところですが。
がんと診断されるのは日本が一番ダントツ!なんだとか…
<海外のがん治療>
欧米では初期のがんも放射線で治療しいる。
<日本のがん治療>
手術絶対主義。手術適用外の時に放射線科へ。もしくは、化学療法。
<そこから見えてくるもの>
実際の治療成績を見ると
放射線と手術後の治療成績は変わらない、
もしくは逆に、臓器を摘出したり体にメスを入れなくて済むので放射線治療の方があきらかに成績はよい場合も。
日本には独自の棲み分けが存在している。
特に顕著なのが”子宮頸がんの治療”。
欧米ではすべての進行期が放射線の対象、というより主流。
でも、日本は?というと…
進行期1〜2期は手術、3〜4期は放射線となっている。
それはなぜか?
放射線治療の基礎は既に欧米では完成されていたから。
逆に、日本での放射線技術は出遅れた。
その変わり、麻酔技術が入り手術が発達。
日本人はスリムで脂肪が少ないから手術がしやすかったことで主流になった。
∟私:え?つまり、合理的に判断されたわけではなかったってこと?
しかも、そのせいで放射線治療を行える人は手術に不利な3期以降のがんや転移がん、高齢者、肥満、糖尿病などの合併症のある患者が回された。
その為、手術より放射線治療の方が生存率が悪かった。
日本の婦人科医の多くは、その結果をもって、手術の方が放射線より治療成績が良いというけれど条件が違うのだから比べようがない。
∟私:主治医に言われた「適用外です」というフレーズが聞こえてきます。
欧米では放射科医=専門腫瘍医は同等の立場。
日本ではそれぞれの専門腫瘍医の方が上。
むしろ、放射線科医が遠慮している。
理由は放射線治療を行うにはそれぞれの専門医との連携が不可欠だから。
∟私:この風習をどう思いますか?
手術がなぜ問題なのか?
イタリアの調査で出た興味深い、比較試験結果があります。
子宮頸がんの手術と放射線治療を比較した結果、1〜2a期の生存率は同等。
そして、大きく違ったのが、後遺症と合併症。
実のところ、放射線のほうが、治療そのものも治療後も、圧倒的に患者にとって楽。
〜中略〜
日本の頸がん手術は、とにかく切りすぎ。
一番問題なのが1b〜2期の手術=”広汎子宮全摘術”。
子宮だけでなくその周辺の組織を広範囲に切り取り、さらに卵巣や骨盤内のリンパ節も一緒に摘出。
術後の後遺症では膀胱や直腸の神経を傷つけてしまう為、程度の差はあれど、必ず排尿・排便障害があらわれます。
∟私:本当に、これが落とし穴。私も可能性として説明されましたが、必ずなるものものだったなんて。だからこそ、術後のバルーンがいい例かも。私が晴れて自己導尿終了したのは術後から半年後。すぐ終わる人もいれば一生の人も。
その他にもリンパ節をごっそり取るので想像以上の痛みが出る浮腫(=むくみ)がおきます。術後のむくみは一時的に収まりますが、そのまま悪化すればリンパ浮腫がおき段々と足が象のようにパンパンに腫れ上がり、感染症にもかかりやすくなり高熱にもかかりやすくなります。この症状を蜂窩織炎(ほうかきしえん)と言います。
私自身、主治医にリンパ浮腫になる確率は3割と言われました。発症目安は5年以内が多く、遅い人で手術後10年後に発症する人もいる。
そしてもう一つ、予想せず驚いたのが性交痛。
確かに以前とは違うとブログで書いていた方もいましたが、こんなに苦痛が待ち受けているとは思いませんでした。
手術で”膣の一部を切除”するので膣の縫われた部分からは痛みと出血が暫くおきました。その痛みには個人差があるようでない方もいるようですが、私自身出血は術後半年後くらいまで、痛みはバージンを脱する時のような痛みが半年以上、毎回起きました。
何より戸惑ったのが”不感症”。
膣の上部にちょうど私自身の性感帯があったようで…正直、主治医に何も言われていなかったので驚きました。
担当医に相談しても経験者じゃないから明快な答えは得られない。
仮にがんが膣上部にまで浸潤している2期ともなると、膣の切除範囲はさらに広くなります。どこまで切除するかは婦人科医次第で、膣がほとんど切除されて、指が二センチ程度しか入らなくった患者を診たことがあります。
「がん放置療法のすすめ」P74より引用
∟私:私自身が身を持って体験しているので実感していますが、この文を読んだ時に本当に本当に、深い悲しみがこみ上げてきました。
こうした問題から、
欧米では1b期以降は放射線治療がスタンダードとなっているそうです。
2b期は欧米では手術が禁忌となっている程です。
そして、結局がんを取り切れず、多くは術後に放射線治療することになる。
1b期でもリスク度によって化学療法が追加されます。
∟私:だったら最初から放射線治療がいい。手術できることは良かったと思っていましたが、もう一度あの時に戻れば答えはNO!一年経った今も気圧が変わると切除した部分がシクシク、ギューッと痛みがやってきます。これは、やっぱり経験者じゃないと分からないし男性医師然り女性医師には理解されない。
つまり、一番大切なことは”本当に私の治療には今提示されていることがベストなのか?”
もしくは、”これは正しいのか?”今一度、問うて見て欲しい。
薦められる裏を正直に教えてくれる医師はいない。
婦人科医は研修医のときから、「頸がんの第一選択は手術」と教育され、さらに「広汎子宮全摘術は婦人科医の試金石」と考えられているので、大きな手術で腕試しをしたいのでしょう。
何より、放射線科医に患者をゆずってしまうと、婦人科医の出番がない。おまんまの食い上げにつながってしまう、これが最大の理由でしょう。